シリコンはポリシリコン、有機シリコーン、アルミ合金などの生産に欠かせない重要原料です。
近年、中国国内での下流需要は安定的に増加してきましたが、ここ数年の急速な生産拡大により、中国市場では構造的な供給過剰が生じています。
現在の中国における金属シリコンの月間生産量は約33~46万トン、月間消費量は約36~42万トンです。
一見すると需給はほぼ均衡していますが、累積在庫は100万トンを超え、過去平均の約5倍に達しています。
2025年9月時点の主要データ:
生産量:約43.6万トン
ポリシリコン消費:14.8万トン(34%)
有機シリコーン:11.6万トン(27%)
アルミ合金:7.9万トン(18%)
輸出:7.0万トン(16%)
全体としては約2.2万トンの在庫増加となり、依然として供給圧力が継続しています。
主要生産地域の稼働率は低調です——新疆は約65%、四川・雲南は50%未満。
高コストの小規模工場は操業を停止していますが、設備は維持されており、価格が回復すればすぐに再稼働可能です。
この特性により、価格上限効果が生じ、価格が上昇すると新たな供給が市場に入り、上昇を抑制される可能性がございます。
政府は旧式・高エネルギー消費設備の淘汰を繰り返し強調していますが、地方の雇用や経済への影響を考え、短期的な実行は難しいかもしれません。
シリコン先物が上市される以前(2022年末以前)、市場在庫は通常10~20万トン程度でした。
現在は先物市場の登場により、企業は倉庫受領証の担保設定やヘッジ取引が可能となり、在庫が金融化しています。
大量のシリコンが引渡倉庫に保管され、100万トン以上の顕在在庫が新常態となりました。
これにより、短期的な市場流動性は低下し、価格変動は緩やかになり、底値での横ばい期間が長引く傾向があります。
中国における金属シリコンの主要消費分野は、ポリシリコンと有機シリコーン業界です。
これらの業界の利益率は低下しており、これによって下流企業の調達は慎重になり、価格感応度は高まっています。
また、米国・欧州・インドなどの対中関税や貿易規制の強化により、輸出市場の不確実性も増大しており、金属シリコン輸出の量や出荷スケジュールにも影響しています。
中国には約200社の金属シリコンメーカーが存在し、地域の電力コストや生産規模により収益性は大きく異なります。
中小規模工場は多くが赤字ですが、新疆や西南地域の統合型大手企業は、自家発電や効率的なコスト構造により、約5~10%の利益を維持しています。
資金力のある企業は在庫を保有して価格上昇を待つ傾向があり、下流ユーザーは必要量のみ購入するため、取引ペースは緩やかです。
短期的には、金属シリコン価格は弱めの横ばいが続く見込みです。
在庫解消は緩やかで、価格は時折反発する可能性があります。
短期的な変動は主に先物市場の資金動向によって左右されると予想します。
中期的な回復の鍵は以下の2点です:
l 旧式設備の実質的な撤退
l エネルギー効率・環境規制の政策的強化
中国の金属シリコン業界は、高景気からより理性的な周期へ移行しています。
高在庫・低稼働率・低価格の同時存在は、業界調整に不可欠なフェーズです。
需給が再バランスされ、構造が最適化されることで、新たな成長サイクルがこの低位調整期に芽吹くことが期待されます。