アンチモン(Sb)は重要な産業用金属として、幅広い分野で使用されています。主な用途は以下となります。
l 難燃剤:エンジニアリングプラスチック、自動車、電子機器、建材などに広く使用されています。特に太陽光発電用ガラス分野においては、再生可能エネルギー需要の高まりにより、アンチモン需要は年々増加しています。
l 鉛蓄電池:アンチモンは鉛蓄電池の性能向上および寿命延長のための重要な添加剤として使用されています。
l 合金強化剤:はんだ、軸受けなどの用途で、材料の強度および耐摩耗性を向上させるために用いられます。
l その他の用途:半導体、ガラスセラミックス、触媒、軍需関連など、多様な分野で代替困難な役割を担っています。
環境保護および再生可能エネルギー需要の拡大に伴い、太陽光発電用ガラス向けアンチモン需要は今後も増加すると見込まれています。
2024年8月15日、中国商務部および税関総署は、2024年9月15日よりアンチモン鉱石および原料、アンチモン金属・製品、三酸化アンチモンなどの化合物、アンチモン水素化物、インジウムアンチモン合金、アンチモン製錬分離技術等を輸出管理の対象とする旨を発表しました。
その後、2025年11月9日に商務部は対米輸出規制の一時停止を発表し、この措置は2026年11月27日までの1年間適用される予定です。
この政策緩和は、中国のアンチモン輸出、とりわけ米国市場の需要回復に大きな影響を与えており、今後は欧米市場への輸出拡大が期待されています。
2025年初頭、中国国内のアンチモン価格は、在庫逼迫・供給難に加え、「430政策」や「531政策」など太陽光発電関連政策の影響により、需要が急増しました。これに伴い、価格は143,000元/トンから240,000元/トンへ(約68%上昇)と急騰しました。
しかし、2025年4月〜11月にかけて、市場は大幅な調整局面を迎え、価格は240,000元/トンから150,000元/トン前後まで下落しました。主因は、政府による密輸取締り強化に伴い三酸化アンチモンの輸出量が急減し、価格に下押し圧力がかかったためです。
2025年11月9日の対米輸出規制停止発表時点での国内価格は148,000元/トンであり、2025年12月8日時点では168,000元/トンまで回復しており、国内市場は上昇基調にあります。
海外市場では2025年1〜3月には40,500 USD/MTから59,800 USD/MTへ上昇しましたが、その後4〜11月にかけて45,000 USD/MTまで下落。11月9日以降はさらに弱含み、38,000 USD/MT 前後に下落しています。
まとめますと、11月以降は中国国内のアンチモン価格が上昇する一方、海外価格は下落しており、両者の動きに差が生じています。
2025年1〜10月の中国アンチモン輸出量は合計5,720トンで、前年比78%減となりました。
特に2025年5月以降、政府による密輸取締強化により、三酸化アンチモンの輸出量は通常の2〜7%まで急減しました。
しかしながら、政策緩和や市場期待の改善により、今後は輸出の回復が見込まれています。
米国地質調査所(USGS)の2024年データによると、世界のアンチモン埋蔵量は約217万トンで、中国(29%)、ロシア(16%)、ボリビア(14%)が主要な保有国となっています。中国のシェアは2013年の52%から大幅に低下しており、資源の急速な減耗が進んでいることがうかがえます。
世界のアンチモン供給は2008年に197,000トンでピークを迎え、その際中国は世界供給の91%以上を占めていました。その後は海外供給の増加と変動が見られる一方、中国の供給比率は低下し、全体供給量も縮小しています。2024年の世界生産量は100,000トン、中国のシェア60%まで低下しました。
中国の精製アンチモン生産量は2024年に55,000トン(前年比8.9%減)となり、近年は鉱石品位の低下や採掘難易度の上昇により、いくつかの鉱山で生産量が減少しています。
当社は専門的なトレーディング企業として、中国国内品に加え、非中国産アンチモン製品の供給ルートも保有しております。アンチモン製品にご関心がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。